世代と家族をつなぐ家

世代と家族をつなぐ家

四世代が一緒に住む家をという相談から始まった家。ご自宅は数多の災害はもちろん戦火をも乗り越えた築100年を優に超える骨太な民家。しかしながら2011年の東日本大震災でも大きなダメージを負い、かつ時代とともに暮らしも足早に移り変わってく中、今の生活に合わせつつ、多世帯のこれからの暮らしを考え、建て替えを決意された事例です。

家の中心を貫く風格のある梁は、建て替え前の住まいから引き継いだもの。100年以上の前の普請ということで、骨組みは黒光りした大黒柱や大きな丸太梁が立派に組まれており、それらはこれからも家を支えてほしいという願いを込め、解体時に取り除き、新たな家でも再利用しました。年月を乗り越えた風格とその物理的な大きさは今の木材や普請にはない安心感と力強さを感じさせ、文字通り家を支える存在です。

また、玄関先の井戸はこれまでの井戸を引き継ぎ新たに再利用。実は敷地の中心にあったもので井戸をつぶしてしまえば計画は容易ですが、こういうことこそ全体計画の工夫で蘇らせるのが、我々建築屋の役割であり、結局は生かすも殺すも我々次第だという責任を忘れてはなりません。

さて、プランは、家族が集まって狭苦しくないよう広々とLDKを設け、簀戸で緩やかに仕切った和室も併設。薪ストーブも中心に据えました。さらにウッドデッキもつなげ、大開口の木製サッシを開放すれば内と外、LDKと全てが一体になります。
また、多世帯ということで、ご両親、更にお婆様のお部屋は当然1階に。水回りを併設し安全安心に暮らせる設計に。

一方2階はご夫婦世帯のスペース。2階のセカンドリビングにも以前のお家の梁を再利用。ミニキッチン、洗面、浴室、バルコニーを2階にも設置し、四世帯同居ながら程よい距離感を実現しています。更には、奥様ご自身だけの空間を確保し、狭いながら趣味の本から仕事の資料までたっぷりと仕舞え、自分だけのほっとした空間もデザインしました。

2階へ上る階段も1階と2階を緩やかにつなげるよう光が入るデザイン。更に「本に触れた生活を」をいう願いを取り入れ、階段まわりには本棚を造作しています。

100年以上、家族を支え見守ってきた家を引き継ぎ、生まれ変わらせこの先の100年へ。そんな思いと願いを込めた世代と家族をつなぐ住まいです。