思いをつなぐ家

思いをつなぐ家

のどかな自然に囲まれた場所に建つ、鳥が翼を広げた姿の様な外観が特徴的な家。
ご主人のご実家が震災で半壊になってしまったことをきっかけに、お仕事の都合で今は別に暮らしていますが、いずれは自分たちが一緒に住むことを考え建て替えました。

ご実家の建て替えの場合は、全く新しい考えで形を刷新することもあるものの、これまで暮らしたお家の雰囲気や配置、間取りの匂いや名残、空気感を敢えて取り入れることも大切なことです。

ご両親が農作業等など家と外と活発に出入りすることから、気兼ねなく使えるように奥行のある通り土間のような玄関を計画。その奥はパントリー~キッチンへも通じているので来客中でも裏動線から出入りが出来、お互いに気を遣わずに過ごせるようになっています。
リビング入口の建具はガラスとガラスの間に建て替え前のお家で使われていた組子細工を再利用。以前のご実家の面影を残しつつ、ご家族、お客様をお迎え出来るよう設えました。

一歩入れば、大開口に面する広々としたLDK。窓からは奥のキッチンまで光が差し込みます。キッチンの配置は建て替え前のお家と同じ配置ですが、光を奥まで入れ込み、ダイニングリビングとつなげることで、暗く寒い北側の台所 というイメージを払拭しています。

一方でリビングと一続きになる和室には、こちらも建て替え前のお家に使われていた柱や梁を解体時に保管し、神棚や仏間の柱に再活用。思い入れのある古材を再利用することでご両親にも大変喜ばれました。大工の技術と見識があってこその活用です。

ご両親の寝室には和ダンスを気兼ねなく置けるように板の間も。
障子から差し込む自然光は優しく温かみのある空間です。

造作洗面もカウンタートップは一体型にし、お手入れを簡単に。壁面にタイルを使用し、彩りを。もちろん鏡の後ろは収納になっています。

2階はご夫婦のスペース。ご主人ご希望の書斎は小上がりとし籠り感を演出。週末など落ち着いて自分の時間を満喫出来ます。

価値観の違う世代での家づくりは難しい事もありますが、ご両親、ご夫婦と話し合いを重ね、想いを読み解き、最終的にご家族皆様にご納得頂く家が完成しました。