受け継ぐ家

受け継ぐ家

築50年の家を建て替えた和風住宅です。
伝統と元のお家の思い出、気品に重きを置き、歳を重ねても住みやすい安心安全なお家を、との思いを大切につくりました。

以前の家に使用されていた材は、亡くなられたご主人が山に行って選ばれたという事もあり、その想いを引き継いで大切に再利用。奥様は材を見れば前の家のどこに使われていたか分かるくらい想い入れがあるとのことで、一つは生活の中心である食堂の天井に利用しています。その他の材も見えなくなってしまうところも含め要所要所に使用し、以前の家を引き継がせて頂きました。

玄関は伝統的な洗い出し仕上げ。靴の脱ぎ履きが楽にできるよう腰掛を設けています。

玄関を入ってすぐに設けた和室は客間と神様、仏様のお部屋として。玄関から自然に奥へといざなうような空間。襖、障子で柔らかく優しく、緩やかに空間を繋げています。欄間も以前のお家で使用していた建具を再利用。
今ではすっかり少なくなってしまった長押等を回した伝統的な和室の設えは仏間、神棚も含め、大工が腕をふるい、拵えました。仏間横の柱も以前の家で使われていた材を再利用したもの。木材をいかす、のは大工ならではの技術です。

広めの廊下・トイレ・洗面脱衣室は車いすでも使用できるようなバリアフリーの設計。将来手すりを付けて安心安全な寸法でつくられています。

廊下に面した収納の建具には「舞良戸(マイラド)」という伝統的な引き戸を使用。古くから伝わり多用される建具で、伝統的でありながら優しい柔らかな雰囲気に仕上げています。

変わらない物、受け継がれた思いを大切に、例え時代が変わってもご家族を優しく包んで心安らかにすごしてほしいとの思いを形にした住宅です。