銀色が美しいいぶし瓦を使用した切り妻屋根、土間を中心にリビング、ダイニング、和室が1つに繋がる大空間が魅力の一方で、真壁の木組みや瓦、漆喰と黒漆喰、洗い出し、土間、障子、格子戸、本畳等伝統的な素材とそれらを使いこなす技術を惜しみなく使用した、伝統的和風住宅です。

引き違い戸の趣のある玄関を開けると土間は豆砂利洗い出し仕上げ。玄関とホールを仕切る戸は太鼓張り。鮮やかな朱色がアクセント。

一歩進むと、土間リビングを中心とした、水回り、居間、和室が1つに繋がる大空間が広がります。
居間の壁全体に本棚を設置し、study、workスペースの机の下は掘りごたつのように掘り下げ、ゴロゴロしながら過ごしたいというご家族が心地よくどこにいても繋がりを感じられる空間です。土間リビングからプライベートなお庭と繋がる大開口は、窓から差し込む光と心地よい風が通り抜けます。
木造住宅の温かみや香りを感じられる真壁造り、南に面した和室は船底天井を採用。家の雰囲気に合わせより趣のあるデザインに。

吹抜けで繋がる二階は、間仕切りのない大空間。天井を間仕切り戸のレールとして四方に取り付けてあり、必要に応じて空間を分解し開閉を操作することで、間取りを自由に変えられる、その名も無限定空間。
さらに、見上げれば伝統的なかぼちゃや束*の天井があり、構造と意匠を同時に高次元で融合した木組みです。

冒頭でも取り上げましたが、伝統的木造建築の素材とそれらを使いこなす設計士の様々な意匠をこらした日本的な美を感じるデザイン。それを実現する職人の知恵と技。家づくりはもっと自由なものだと教えてくれる、素材と設計、技術の結晶です。

*かぼちゃ束...中心の心棒を挟んで四隅に隅木をかけて屋根の重荷を持たせてある工法。かぼちゃの軸のように見えることからかぼちゃ束と言います。