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愛着について part2

話し手:代表取締役 渡邊

前回に続き、「愛着」についてお話を伺っていきます。
今回はオーナー様から実際に寄せられた「記憶に残っているお施主様とのエピソードはありますか?」というご質問に対して、 渡邊が率直に語ってくれました。

愛着っていうのは分かった気がします。記憶に残るお施主さまとのエピソードってありますか?印象的なお客さまとか。

そうだなあ、お客さま一人一人の顔をみればあんなことがあった、こんなことがあったと思い出すけど、1つと言われると難しいなあ...。それとどうしても駆け出し、所謂若いころ、WISE SCAPEなんて影も形も無いころの方が印象に残っているのも事実。あとは青くなったことね(笑)うまくいったことよりもそっちの方が覚えているよね(苦笑)つくる過程のエピソードもいっぱいある。山での伐採は勿論、木を選んだり吟味したりすることもだし、職人さんとのやり取りで、ここをどうつくるかとか、どう収めるかって事もエピソードって言えばエピソードだから。完成してしまうと見えないことの方が多いけどね。目に見えてるとこは一部で、目に見えないとこが多いね。

質問に答えるとすれば、どうしても途中でこうしたいっていう追加オーダーが来て、お客さまがどうしてもって言ってるからわかりましたって言ったものの、もう見れば見るほどに難しい、これはキツイという...。もう半ば形が出来た中で変更するわけだからね‥。きついっていうかどうする?もう壊す?みたいなことは覚えてるかなあ...。思い出すだけで青くなることもあるけどね(笑)現場で頭に煙が出るような、若干眠れないみたいな感じで、本当にどうしようって。兎に角考えるんだけど、それは印象に残ってる。

兎に角考えて、考えて解決策を出して、大工さんとも色々すり合わせて、ほんとにうまくいくかな?上手くいくかな?ってドキドキしながらやって、仕上がって完成して、あー上手くいったってなったその時のほっとする感覚。もうそればっかりだよ、覚えてるの(笑)。だからね、我々はどちらかというと愛着が勝手に沸くんだよね。自分たちがつくった家に対して。だからほっとけないし、何か起きたらやっぱりお施主さまのためっていうのもあるけど、どちらかって言うと自分たちが、言葉は変だけどある意味生み出したものだから、ほっとけないとなる。だからこそ大切にされないってなると、本当に切ないし申し訳ない。お客さまにっていうのもあるけど家に申し訳なくなる。ごめんなさい、みたいな。建物、家に対して。解体されるって言ったら胸が潰されるような思いだよね。その役目を全うして解体されるのはいいよ。例えば 80年、90年、100年とか。一つの命として全うして、お疲れ様でしたっていうのは変かもしれないけど。やっぱり30年で壊されるっていうのは申し訳ないし、何が悪かったんだろうなって思うよね。いろんな事情があるんでしょうけど。やっぱりそこでもね愛着があるとこの家は壊さないでなんとかリフォームで出来ませんかってなるもんなんだよ。

我々もいろんなお客さまの依頼を受けるけど、やっぱり想い入れがある人はそれが伝わってくるから、こっちも躯体だけ残してなんとかと思う。それは内装とか全部なくなっちゃうかもしれないけど、1番の躯体の部分は残してって思うから。確かに全て壊してしまった方が合理的な事の方が多いし、その方が作る方も楽ではあるんだけどね。でも何とか残してと思ってしまうし、なんとかならないかと思うからね。だからやっぱり大事だよね、愛着って。あとはパッと建物見た時にこの家は素敵だなあっていう建物は言われなくてもなんとか残せないのかなって思う。それはやはり流行り廃りのない普遍的なフォルムだったり、質素でも本物の素材で構成されていたりなんだけど、やっぱり住んできた人が大切に丁寧に暮らしたんだなという香り、雰囲気が佇まいからそこはかとなく醸し出されるから...。昔の家だから基本的に寒いし、暑いので、そういう点だけを考えたら...と思う部分もあるけど、やっぱり人の思いは、家を住み継いでいくだけの動機であり、力にはなるよね。あ、また愛着の話に戻ってしまった(笑)

Part1,2を通して家を建てることは住まい手の人生の一部にかかわること。
そんな思いが伝わりました。どの家にもそれぞれの思い入れがある。
「愛着」というお話しを通して、家づくりの原点について改めて見つめなおす機会となりました。