注文住宅大工の技術と並んで重要なのが設計技術です。設計の分野でも、施工現場と同じように、急速な機械化が進んでいます。量産型の住宅であれば、間取りをCADに入力するだけで、あとは人の作業は不要。というところまで来ています。これは、家の高さ、屋根の勾配、構造部材、仕上げ部材等がすべて統一化されていった結果でもあります。
量産化住宅が普及するまでは、設計士が1棟の家につき数十枚の図面を書いていました。「基本図面」と呼ばれる平面図、立面図、配置図。「施工図面」と呼ばれる断面図、矩計図、伏図、展開図、詳細図、配線図、配管図、建具表、仕上表......と数は膨大です。それが配置図、平面図のみで家が建つのです。量産化は大工だけでなく、設計も大幅に効率化しました。
そのため、以前では考えられなかった設計士不在という住宅会社がたくさんできたのです。標準化されていれば間取りの変更のみで家が建ちます。こうして、営業スタッフだけでも家を建てることが可能になったのです。
基本デザイン、部材、仕様を絞り込み、統一化、標準化されたのが量産住宅です。それが消費者に多くのメリットを与えたことは、これまでにもいろいろと語ってきました。しかし、一方で「統一化、標準化したものから外れると建築ができない」という、ある面では致命的と言っても過言ではないデメリットも生んでしまいました。
どんなにCADが進化しても、個別の住宅のデザインである以上は、前述した多くの図面が必要です。量産住宅とは違い、全ての図面を作成しなければなりません。だからこそ、注文住宅の建築士は高い技術力を要望されます。だからこそ、「WISE SCAPE」では、大工同様に、建築士も注文住宅に応えられる技術を持てるよう育成に取り組んでいるのです。
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